作家オノフは、雨漏りのする殺風景な警察の取調室で、好きなタバコも許されず、容疑も教えられないまま延々と取り調べを受けていた。弁護士とも連絡が取れず、オノフには袋小路に入りこんだかに思えた。しかし調べが進むうち、話は意外な方向へと転換する。取り調べを続ける署長が目の前に積み上げたオノフの過去に関する事実。それは作家オノフが偽りの経歴の中で何とか抹殺しようとしてきた忌むべき過去だった。