『人間の値打ち』で絶賛されたイタリアの名匠
パオロ・ヴィルズィが紡いだ、幸せ探しの旅。

イタリア・トスカーナ州の緑豊かな丘の上にある診療施設、ヴィラ・ビオンディ。ここでは心にさまざまな問題を抱えた女性たちが、広大な庭でくつろいだり、農作業にいそしんだりしながら、社会に復帰するための治療を受けている。大声を張り上げて意気揚々と闊歩する“自称”伯爵夫人のベアトリーチェは、この施設の女王様のような存在だ。ある日彼女の目に留まったのは、やせ細った体のあちこちにタトゥーが刻まれた、若く美しい新参者のドナテッラ。ルームメイトになったふたりは施設をひょっこり抜け出し、行き当たりばったりの逃避行の中で徐々に絆を深めていく。やがて心に傷を負ったドナテッラの脳裏にある痛切な記憶が甦り、ベアトリーチェは病院に引き戻された彼女を救い出そうとするのだが…。人生に必要なのは、少しの休暇と女同士の友情。そんな友情を手にしたふたりに、天はささやかな贈り物をするのだった。