19世紀末、ウィーン。時代を遥かに先に行った天才画家がいた。——グスタフ･クリムト。
官能と情熱に満ち溢れた世界、あでやかで豊かな色彩、描き続けた“宿命の女・ファム＝ファタール”。「モデルに触れないと描けない」画家はタブーとされていた裸体、妊婦、性描写をこともなげに描き続け、周囲から罵倒される。時代に嫉妬されたひとりの天才画家が辿る数奇な運命とは…。
画家クリムトには久々の主演のジョン・マルコヴィッチ。夢と現の狭間に身を置いた画家の危うい精神世界までをも、見事に演じきる。絵画、衣装、セットなど細部にいたるまで当時を意識した世界観が、絢爛豪華な世紀末のウィーンへと誘う。